-設計理念-

Concept

1.この地で設計をする

設計は一期一会だ。

決して自分自身の中から生まれるものではなく、住まい手、土地、環境、施工者、設計者の個性が形になった偶然の賜物である。

もちろん、どれか1つでも条件が変わってしまうと、その建築に出会うことはできない。


冬の十勝は、痛さを感じるほどに寒く、朝起きると視界すべてが真っ白くなるほどの雪が積もる。

この土地の個性は厳しいだけではなく、とても魅力的であると思う。

私たちは、この過酷な環境を受け入れ、それを強みとして生かすような、素直な建築を考えていきたい。


そうやって、この土地の個性に正面から向き合うことで、土地の色を持った建築が生まれる。

たくさんの出会い、偶然や必然を紡ぎながら設計を続けていくことで、道東、十勝の景色は今よりも愛されるものになると信じている。

2.自由に考える

住まい手の性格が十人十色なように、価値観、生活の仕方も皆違い、それを受け入れる建築も柔軟でなければいけない。

一点物のオーダーメイドだからこそ、偏見をもたず、特定の理論やスタイルに固執しないようにしている。

私達の設計した住宅は奇をてらわず素直に考え抜いた1つの結果である。

3.育つ住宅

きれいか汚いかだけで判断する建築ではなく、使い込むほどに味わいが増す建築が美しいと感じる。

傷がついて色が変わるにつれ、どんどん美しくなってくる。

そういった住宅で育った子供は想像力が豊かに育つようだ。

生活をしながら直して育て、金継ぎをするように美しくなっていく住宅が良い。

4.自然と性能

技術が進歩した現在、デザインを担保しながら「性能」を上げることは簡単である。

0.2に近いUA値、全館暖房で寒暖差を感じない住宅。

ただ、数値と生活の心地は必ずしも比例するものではない。


冬場は日射で室内が暖まり、夏場は日射を遮ぎる。窓を開けると風が通る。昔からある当たり前の考え方。

現代の断熱技術に頼りながらも、自然の力を組み合わせた住宅を考えたい。

5.時間と暮らす

移ろう光、緑からこぼれる木漏れ日、雨、雪、落ち葉、汚れ、傷、汗ばみ、日焼け

時間の流れはたくさんの物語を、建築と私達に与えてくれる。


時間の流れを感じ、たくさんの思い出が残る家が良い。